IFRSにおける管理会計と財務関係について
2012-03-11

□財務会計と管理会計

 財務会計と管理会計は守備範囲が異なります。財務会計は、自社内データの大量事務処理といえるでしょう。一方管理会計は、自社内のみならず、外部データも
含め、かつ未来予測を含めた少量データ意思決定支援処理といえるでしょう。具体例を少し考えてみましょう。


典型的なものとして予実管理をみてみましょう。予実管理は、対象企業によって、幅も深さも異なります。幅とは、対象とする勘定科目をどうするかという問題でしょう。

深さとは、対象とする組織部門をどのレベルでとらえるかということでしょう。
わかりやすくいえば、係まで、細かくみるのか、部で良いとするのか、また、事務用品といった細かい単位までみるのか、一般管理費レベルでみるのか、といった問題です。

これも対象企業のありかたからみて、その企業の常識で作ればよいでしょう。
あまり、一般化することは得策ではありません。

意思決定支援の典型的な例である投資判断といった管理会計をみてみましょう。
例えば、工場建設といったような投資判断は、その工場が生み出す将来キャッシュフローの予測から始まる。また工場の稼働期間内に期待できるIRRを予測する必要がある。それらをもとにして、現在価値に割り引き、合計現在価値を算出することになる。それが、投資金額を上回れば、投資OKで下回れば、投資はNOです。

こういった管理会計にIFRSは、殆ど、関係がありません。
すなわち、管理会計は財務会計とは守備範囲が異なります。

経営者にとって、財務会計の価値と管理会計の価値はどちらが高いのでしょうか。

これは局面によって異なります。世界から、資本を調達する目的で、財務状態を報告する場合には、財務会計の結果としての連結決算情報が重要です。

一方、経営判断を行う上では、管理会計の結果の方が価値が高い場合が多い。
予実管理の結果は、IFRSでの報告事項ではありませんが、経営者にとって、重要な反省材料であり、経営改善のための重要な根拠でもあります。

投資判断の現在価値も同様にIFRSでの報告事項ではありませんが、経営判断上極めて重要な指標です。

IFRS導入にあたっては、財務会計、管理会計両面の利用方法を勘案し、その企業にとって、重要なものから、順次導入する事をお勧めします。


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